初代プレステなど対応のエミュ「Provenance」がAppStore公開に向けTestFlight審査を突破、他にも3DSエミュが挑戦中

ファミコンやGBAなどのエミュレーターアプリ【Delta】がApp Storeで公開されたことを受け、より多くのゲーム機をサポートするエミュレーター【Provenance】もApp Storeでの公開を目指すと以前報告されていました。
今回、そんなProvenanceの進捗状況について改めて報告が行われており、App Store公開に向けて…まずはTestFlightの審査を通過したことが明らかになっています。

また、別件として、Deltaのアップデート予告や、3DSエミュレーターアプリの挑戦などについても報告されているため、こちらについてもご紹介…！

Provenance

Provenanceとは、以下のゲーム機に対応したマルチゲームエミュレーターとなっており、将来的には「PlayStation 2」や「PSP」、「ドリームキャスト」などの対応も追加予定とされているアプリです。
ただし、App Storeでリリースする際…パフォーマンス等の理由で外さなければいけないゲーム機もあるため、この点は注意が必要となります。

• [Atari] 2600 / 5200 / 7800 / Jaguar / Lynx
• [バンダイ] ワンダースワン / ワンダースワンカラー
• [NEC] PC エンジン / CD-ROM² / PCエンジン スーパーグラフィックス / PC-FX
• [任天堂] ファミコン / ディスクシステム / スーパーファミコン / NINTENDO64 / ゲームキューブ / Wii / ゲームボーイ / ゲームボーイカラー / ゲームボーイアドバンス / ニンテンドーDS / バーチャルボーイ / ポケモンミニ
• [ソニー] PlayStation（PS1）
• [セガ] SG-1000 / マスターシステム / メガドライブ / ゲームギア / メガCD / スーパー32X / セガサターン
• [SNK] ネオジオポケット / ネオジオポケットカラー

また、動作環境として…現状では「iOS / iPadOS / Apple Vision / macOS（Apple Silicon）」で動作するアプリとして開発が行われている模様。
tvOS（Apple TV）対応についても予定されているそうで、バグ修正等が終わった段階で追加するとのこと。

TestFlightの審査を通過

First TestFlight submission has passed review! 🚀 👍 We encountered a minor issue where the build crashes on load 👎, but our team is on it and we expect to have it fixed by the end of the day.

We’ll keep you updated on our progress and can’t wait to share a public link with… pic.twitter.com/ui4uMljl7m

— Provenance-Emu 🎮🕹 (@provenanceapp) April 29, 2024

App Storeでリリースする前段階として、限定公開でのベータテストやプレリリースを実施する仕組み「TestFlight」と言うものがあります。
こちらにもAppleによる審査があるのですが、今回ProvenanceはこのTestFlightの審査を突破したと報告をおこなってくれています…！

TestFlightの審査が通った = App Storeの審査も通る…と言うわけではないようですが、大きめのハードルを一つ突破したと言う感じでしょうか。

段階的に…

これまでのサイドローディング向けや脱獄環境向けとは異なり、App Store向けの場合にはJIT（Just In Time）と言う仕組みを無効化しなければいけません。
そのため、パフォーマンスの低下等が発生する、無効化したことによりバグが出現する、などの問題が出てきます。

こういった部分をTestFlightを使用しながら、まずはパトロン向けにテストを行なってもらい、次に公開テスト、最後にApp Storeでのリリース…と段階を踏んで進んでいく予定になっているそうです。
特にパフォーマンスの部分については実行するデバイス等にも左右されるので、この辺りの確認も必要になってくるようです。

DeltaはiPad対応を予定

投稿者: @rileytestut

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続いて、「Delta」についての話題。
Deltaは以下のゲーム機に対応したエミュレーターとして既にApp Storeでリリース済みとなっているアプリです。

• ファミコン（NES）
• スーパーファミコン（SNES）
• Nintendo 64
• ゲームボーイ
• ゲームボーイカラー
• ゲームボーイアドバンス
• Nintendo DS（biosファイルなどの追加が必要）
• セガ メガドライブ（実験機能として）

そんなDeltaですが、開発者であるRiley Testut氏より「次回のメジャーアップデートで、DeltaのiPad対応を行う」と報告が行われています。
投稿にはiPadで動作させているデモ動画も添付されており、iPadの大きな画面でプレイできるのは便利になりそうです。

3DSエミュレーターもApp Storeへ挑戦中

With Folium iPhone 3DS emulator & Mario Kart 7, make a 4 hour train ride feel like 4 minutes!! 🔥 pic.twitter.com/TyJrcdzuYL

— SnowLatch (@SnowLatch) April 29, 2024

さらに、現在Jarrod Norwell氏により【Folium】と言うエミュレーターアプリの開発が行われており、こちらについてもApp Storeでのリリースを目標にして、まずはTestFlightの審査中となっているようです（$4.99での販売が目標とのこと）。

Foliumは上記動画でも分かる通り、Nintendo 3DSを含むゲームボーイ / Nintendo DS / Nintendo 3DSのエミュレーターアプリとなっています。
また、今後は初代プレイステーションの追加が予定されているとのこと。他にもゲームキューブ、Wii、PlayStation 2の追加も検討されているようですが、パフォーマンスが出るか…にかかっているそうです。

3DSゲームのパフォーマンスは…

気になるのは3DSゲームをフルパフォーマンスで動作させられるのか？と言う部分ですが、現状わかっている所としては…iPhone 15 Proであればフルパフォーマンス（60fps）で動作する模様。
まだバグの影響でフレームレートが低下する場合があるようですが、それを除けばiPhone 15 Pro上で60fpsでの動作が可能とのこと。

ただし、JITが使えない影響でiPhone 14以前などのデバイスではフルパフォーマンスが出ない場合があり、実際にどの程度動作するか…などはTestFlightの審査通過後に確認されていくものと思われます。

もうひとつの課題は…3DSはレトロゲームか？

今回のApp Storeでのエミュレーターアプリの登場は、App Storeガイドラインの改訂により可能となったのですが、そこには「レトロゲームのエミュレーター」との文言があります。
正面から理解すれば…レトロゲームのエミュレーターアプリのみが許可される…と言うことになるのですが、レトロゲームの定義が明かされていないのが問題です。

Deltaにて、2004年発売の「Nintendo DS」が許可されていますが、「Nintendo 3DS」に関しては2011年2月26日発売です。
さらに言えば、生産完了となったのは4年前の出来事であり、つい最近と言っても過言ではありません。

そのため、3DSエミュレーターが許可されるには「Appleがレトロゲームと定義する基準に、3DSが該当しているかどうか」が重要になってきそうです。

仮に許可された場合、3DS以前のゲーム機に関してもレトロゲームと言える可能性が増すため、例えばWiiであったり、PlayStation 3、Xbox 360なども含まれる可能性が出てくる…と言うことに（動作するかは別ですが）。

〆

エミュレーターに関しては、やはりJITを有効にできない…と言う点がパフォーマンスに直結しており、問題となる可能性がありそうですね…。
サイドローディングや脱獄環境などであれば有効にしてフルパフォーマンスで動作させることが出来る環境であっても、App Store版ではJITが無効化されている影響でパフォーマンスが出ない…と言うことも多そうです。
FoliumもJITが有効にできればほとんどのデバイスでフルパフォーマンスが出るのに…と語っていたりしたので、今後この辺りがどうなるか…気になるところ。