Appleからの警告により、iOSのベータ版プロファイルなどを再配布していたサイトが閉鎖

iOSやiPadOS、tvOS、macOSなどなど…Appleは多くのOSでベータテストを実施していますが、これらベータ版を再配布していたサイトがAppleの警告により閉鎖されたとの報告が行われています。
今回の話題について、少し勘違いしやすいポイントがあったので、その辺りについても後述いたします。

ベータテスト

Appleは多くのOSでベータテストを実施していますが、ベータテストには「開発者だけが参加できるベータテスト」と「一般人も参加出来るパブリックベータテスト」の二種類が存在します。

基本的には開発者限定ベータテストの方が先行して進んでいくのですが、こちらはあくまで開発者登録を行っている方のみが参加出来る物であり、一般人は参加することが出来ません。

再配布していたサイトが閉鎖

Hi everyone, I just wanted to say that BetaProfiles will be shutting down soon, I just don't want to get into a legal battle with Apple. BetaProfiles social media will remain as a place to discuss beta updates. Thanks guys so much ❤️

— Beta Profiles (@BetaProfiles) August 10, 2022

そんな開発者限定ベータテストへ参加するための「プロファイル（ベータテストへ参加するためのチケットみたいな物）」を再配布しているサイト…という物がいくつか存在します。
今回、そのうち「Beta Profiles」と「IPSW .dev」の2サイトがAppleからの警告により閉鎖した」との報告が行われています。
また、MacRumorsによると、Beta Profilesは「Appleの弁護士より警告を受け取り、訴訟を避けるために閉鎖した」としています。

数日前にも報告が出ていた

My twitter account got temporarily suspended because Apple Inc. filed a DMCA takedown against tweets where I merely linked to @IPSWdev.https://t.co/cmNSHV5r9y

— Nicolás Álvarez (@nicolas09F9) August 3, 2022

遡ること数日…DMCA（デジタルミレニアム著作権法）違反によりいくつかのツイートが削除されたとの報告が出ていました。
これらツイートは前項のサイトへのリンクを記載していた物となっているようで、サイトだけでなく、それらへのリンクが含まれているツイートに関しても違反通知していたということになります。

今回のポイントは

今回の報告への反応を見ていると、「ファームウェアのダウンロードURLを記載したらダメなのか！」と勘違いしてしまっている方がいたので、この点について少し補足しておきたいと思います。

まず前提として、今回閉鎖されたのはどちらもベータテストへ参加するための”プロファイル”を再配布していたサイトです。
また、ファームウェアのダウンロードリンクもありましたが、それらも再配布されているものです。
要するに、どちらもAppleサーバーではなく、他者のサーバーやTorrentなどで再配布している物であったということです。

逆に…

例えばThe iPhone Wikiなどに記載されているAppleサーバーから直接ファームウェアのファイル（IPSWやOTAファイル）をダウンロードするリンクに関しては、現時点では何も警告などは行われていません。
そもそもこれらファームウェアのダウンロードURLは、AppleのXMLファイルなどに記載されており、特に開発者制限なども行われていません（たまに制限がある物もあり、その場合はAppleの開発者サイトへ飛ばされ、ログインを求められます）。

こちらは記載してもイイのか？と言われるとApple次第な気はしますが、今回の問題は「Appleの著作物をコピーし、自身のサーバーなどからダウンロード出来るように再配布した」という物ですので、性質が全く異なります。

〆

例えばパブリックベータ用のプロファイルを元に、OTA無効化プロファイルを作る…などは過去に行われてきた手法ですが、開発者限定ベータプロファイルそのものを再配布しちゃね…という感じでしょうか…。
また、ファームウェアに関しても、例えば脱獄アプリでファームウェアに含まれる一部ファイルを使いたい場合、脱獄アプリのインストール時にそれぞれ直接Appleサーバーからダウンロードして…といった様に、かなり配慮された作りになっています。
にも関わらず、ファームウェア自体を再配布しちゃ…ね…と…。

そもそもファームウェアファイルはタイミングによっては開発者アカウントでのログインを求められるものの、多くの場合は誰でもAppleサーバーから直接ダウンロードすることが可能なため、わざわざ再配布する意味とは…なんて思ったりも…。